常不軽菩薩品第二十
この項も要点のみを記載します。
この章には、常不軽(じょうふきょう)という菩薩が登場します。どんなに排斥されても、その人を「常に軽ずることなく」拝み続けた菩薩です。釈尊は、五種法師の素晴らしい功徳について説き、これらの法師をののしったり、悪口を言ったり、欠点をあげつらったりする人があれば、大きな罪の報いを必ず受けると述べ、正法・像法・末法の世に威音王如来(いをんのうにょらい)がどう表れたかをといてゆく。この常不軽菩薩は釈尊の事である。
人と人の関係は実に難しい。昨日までは、親の仇のようにののしっていたのに、今日は、うってかわって妥協の連続である。昨日までの悪口雑言はどうしたことなのだろうか。利害によって人は動く。平気で敵になったり味方になったりする。攻撃してき、その十倍もの勢いで叩きのめすのが、俗世の生き方だと信じている人が多い。相手を信じきるのが、どんなに心の平安につながっていくか、誰でも知っている。どれだけ良いかわからない。
悪口雑言を投げつけられても、「あなたも仏になれる」と唱えて、合掌していく心を作らなくてはならない。人生の苦悩は、こうして超えていけるのだ。