この世界は火宅の如し
この比喩は、父親が留守の間に邸宅が火事になるという話です。父の大邸宅が燃えているのに子供達はその中で遊んでいる。その子供達とは我々無明に悩む衆生で、大邸宅は娑婆の世界なのです。この比喩は火宅の中に居ながら、それに気づかぬばかりか、そこにしがみついて苦しんでいる衆生の姿をリアルに描いている。
火宅の中で貪・瞋・痴の炎を燃やして遊んでいるのが、世間の人々のことなのだと、釈尊が教えているのを知ることが出来る。火宅の衆生は皆世間の欲心に惑わされて、つまらない事に執着し、自分で自分の人生を苦しいものにしまっているのです。
「諸苦の所因は貪欲これ本なり」なのです。衆生は欲望を追い求めて、執着する心が深いので、「仏の知恵」を聴こうとしない。そういう人々に心の平安はない。釈尊は衆生の苦しみを少しでも取り除いて、平安な人生を生きるようにと願って下さっているのです。