*般若心経を読んで -8-
観音の慈悲について
観音さまは、「正しい智慧に目覚めた者」である仏陀の二大特徴である智慧と慈悲のうち「慈悲」を象徴化したものです。
「慈悲」とは、相手に喜びや楽しみを与え、同時に相手から悲しみや苦しみを取り除くことを意味している。
しかもその慈悲の対象は、決して個人の人間ではなく、生きるものすべてに対してであるということです。
観音の慈悲は、生き物を決して差別しない。
我々人間はどうでしょうか、「子供や孫がかわいい」「恋人を抱きしめたい」とか、「オレの・・・」 すべて自分を出発点としている発想です。だから、相手に裏切られたりすると、途端に愛が憎しみへと変わってしまうのです。
衆生がどんな姿、形をしていようが、富める者のだろうが貧しい者だろうが、そんなことには頓着しない。この世で悲しんだり、苦しんだりしている衆生を救済するのが目的なのです。
実はこの「衆生を救済する」という目的を持って説かれているのが「般若心経」なのです。