禅語 その2
*脚下照顧(きゃっかしょうこ) わが身、わが心を見つめる。
文字どおり「自分の足下を良く見つめなさい」ということです。
足下を見ることは、わが身、わが心を見つめることでもあります。足は人間の体を支える根幹です。足下がぐらつくと、安心して立つことができません。身体が安定しないばかりでなく、心まで不安定になってしまいます。
足下がぐらつかないよう、土台を固めるには、常にわが身の行いを振り返ることです。いま思っていることを振り返り、毎日使っている言葉を顧みる。無意識のうちに他人を傷つけてしまう言葉の過ち、わだかまる恨みや怒りなど、自分の中にあるマイナス部分を認め、反省する気持を持つことです。
禅寺の玄関にはよく「脚下照顧」と書いた看板があります。これは「上がる前によく自分の足下を見なさい」という意味で、脱いだ履物をきちんとそろえましたか?という注意書きです。
しかしこの言葉は、たんに履物の脱ぎ方を注意しているわけではありません。「形は心の表れ」と言いますが、心が乱れていると、何ごともきれいに整えることが難しくなるものです。
玄関を見ればその家の状態がわかると言うほど、靴の脱ぎ方ひとつにも、心のあり方が見えると言われます。
心が余裕を失いそうなときこそ、立ち止まって足下を見つめたいものです。
ドキッとしますが、早く玄関に行ってみて下さい。皆さんいまから「脚下照顧」を実践してみては如何でしょうか。心が安定し余裕が出てくること請け合いです。