2025-06-15
春水満四澤(しゅんすいしたくにみつ)
昨日は恐かったあの人も
春になって、雪解け水が沢を満たしていく。
冬は雪の姿、春は水となって、季節ごとの姿に執着なく地上に恵みをもたらします。まるで、厳格な当主からやさしい隠居となり、孫と遊ぶ好々爺のようです。
当主は一家を養う責任を一身に引き受け、収入の途切れることを許されず、世に敵の多いのを承知して子供たちに生業を教える。厳しくなるのはあたりまえです。
当主の愛情は冬の雪のよう。そして子供が修行を終えたころ、当主は世代交代の時期を悟ります。
今度は隠居になった身で、なりたての未熟な当主を支えるべく微笑みをたたえて、孫たちと戯れて雪解け水のように一家を優しさで潤していくのです。