*第十節 安らぎの世界へ飛翔!
いよいよ般若心経も最終となりました。
故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦 羯諦 波羅羯諦
こせつはんにゃはらみつたしゅ そくせつしゅわつ ぎゃてい ぎゃてい はらぎゃてい
はらそうぎゃてい ぼうじそわか はんにゃしんぎょう
《現代語訳》
さてそこで、智慧の完成の真言を最後に出しておくことにしよう。すなわち、その真言とは 次のようなものである。
“往き 往きて 彼岸に往き 完全な彼岸に到達したものこそ 悟りそのものである めでたし
「智慧の完成についての最も肝要な教えを説きし聖典」
*羯諦 羯諦 彼岸への第一歩を踏み出した
いよいよ般若心経も終わりに近づいて、「これまでは説明、これからは真言ですよ」、
すなわち、その真言とは次のようなものですよという意味です。
これは、経典翻訳者の玄奘三蔵が、わざわざ中国語に翻訳しないで音写の形で残
したのです。
意味は(この迷いの世界からあの悟りの世界へと)往った。という事です。
まさに彼岸への第一歩を踏み出したのです。
*波羅羯諦 真言とは悟りの内容を示す秘密の言葉
真言は悟りの内容を示してはいるが、単なる言葉としてしか私達には迫ってこない。
ですが、この言葉は永久不変なのです。時間を超え、空間を超え、多くの人間が生き、 死んでいくものの、これだけは変化しないし、なくならない。
羯諦 =往き
羯諦 =往き
波羅羯諦=彼岸に往き
真理そのものは、何万言ついやしても表現できない。ただひたすら、聞き、口に
することだけなのです。