*「心無罫礙」 心静かな状態。心に妨げがない。
心静かな状態とは、どんなことを言うのでしょう?
恐怖について考えると。
恐怖の対象と言ったら何でしょう。
地震・雷・火事・洪水・嵐・飢饉(干ばつ)といった自然現象の他に、戦争・
泥棒(強盗)・貧乏といった人災、そして、老・病・死という、誰もが避ける
ことのできない現象の三つではないかと言われます。
考えてみると、これらのすべての恐怖の対象は、最後の死に結びつく可能性が
あるからこそ怖いのであって、それが死と直結しないと分かれば、ある程度恐怖
は薄れるはずです。
かつては、お化け・幽霊・悪鬼・たたりといったものも恐れられていましたが、
その理由は、人間の生命を脅かすもの、といった考えからでしょう。
なぜ、目に見えない何物かが恐ろしいのか?
常にこちら側に恐怖心があるからであります。つまり、心にさまたげ(罫礙)が
あるからこそ、よく見ると何という事もないものに対してでもこわいと錯覚して
しまうのです。
放射能の恐怖を日本人は経験し、また目の当たりに見ているので、いくら目に見えなくても、「心無罫礙」と言っても恐怖心を感じないわけにはいきませんね。