「受想行識 亦復如是」:心の四つの働き(五蘊)もまたかくのごとし。
心もいつか変わってゆく。「絶対に変わらぬ愛」を誓って、信じあった二人の愛も、やがて色あせるときが訪れる。他の異性に横恋慕、倦怠期を迎える、離婚を決意する、配偶者の死を願う・・・・。愛がその始まりの頃と同じ強さでけいぞくすることなど、きわめて稀なことです。
愛に実体はないのです。どんなに愛し合っていた二人であっても、片方が死んでしまえば、やがて悲しみや苦しみは徐々に薄れていってしまう。そのうち、どうしてあの時にあんなに悲しんだのか、と自分が不思議に思えてくる。これが現実の人生なのです。
このように人間の心にもまた、実体が無いのです。常に心というものも変化し続けているのです。
このように人間の心もまた、実体がないのです。「受想行識 亦復如是」つまり心の四つの働きも、色と同じように空なのですと、言っているのです。
「色不異空 空不異色」:「色」は「空」と同じであり、「空」は「色」と同じなのです。
「空」の思想を強調する四句。
以上のように、この世には何一つとして永遠なるものはない。すべては本質的存在ではな い。・・・・――――これが「空」なのです。永遠という時間の中に人間を置いてみると人間は何年生きられるだろうか?せいぜい百年でしょう。永遠を100としたら「百年」は、ほぼゼロに等しい。千年の古木も永遠に比べたらゼロに等しい。
すべては永遠の存在ではなく、また、そうだからこそ、今、一時的な仮の姿を与えられて「有る」ように見えるのです。ではどうしたらよいのか?
一時的に「現在の人間」として生を与えられた、「わたくし」という人間が、この様に恵まれた機会を十分に生かすことなく、単に瞬間的な享楽のみを追いかけて生きてはならない。
実体のない私達の一生を、いかに有意義に用いて、未来の変化に対する備えをしておくべきか、を教えようとしているのです。
と言うことは、私もいずれは死んで消え去る身、現在は仮の姿なのですね。