禅語 その7 苦しみを乗り越える
*寒時寒殺闍黎 (かんじは しゃりをかんさつし) 苦しみを受けとめる覚悟
難しい言葉ですが、闍黎(しゃり)とは僧の尊称だそうです。
「寒時寒殺闍黎 熱時熱殺闍黎」 (かんじは しゃりをかんさつし ねつじは しゃりをねつさつす)
という禅語です。
この「寒暑」は、寒さや暑さだけのことではなく、心の中の苦悩や煩悩も私達にとっての「寒暑」です。
苦しいとき、辛いとき、悲しいとき、その悩みを避けたり、一時逃れをするのは、寒いときに「寒い」と文句をいい、暑いときには「暑い」と愚痴るのと同じこと。
苦しいときこそ、その悩みを避けるのではなく、ありのままに受けとめる。
つらい事柄に「なりきる」ことによって、人は煩悩苦悩から解放されるという教えです。
辛い事をしっかり受けとめる勇気を持つことが、苦しみを乗り越えるためには必要です。
大変難しいことですが、いろいろと悩み多いこの時世において、これを乗り切るためには自分の現状をしっかり見て受けとめることが大切なのでしょう。八正道にある「正見」(しょうけん)の意味と同じではと私は思います。