禅に学ぶ -7- 柳緑花紅・・百歳の禅語より
無常にはプラスとマイナスの両面がある。
花が咲いて美しいというのはどういった真理を表しているのか。
その第一番は「無常」ということ。無常の真理を象徴しているので
す。全てのものは移り変わっていく、と言う事です。
ただ、無常というと日本人は何か厭世的な気持ちになって、「祇園
精舎の鐘の声、嗚呼・・・・」となりがちですが、そういうマイナスの面
だけを見るのではなく、プラスの面も見なければならない。
「世の中は三日見ぬ間の桜かな」は、江戸時代の俳人・大島蓼太
の詠んだ句です。この句は「三日見ない間に、もうこんなに桜が咲
いた」という意味にも「ちょっと見ないうちに、もう桜が散ってしまっ
た」という意味にもとれます。
無常というと、この「散ってしまった」という面にばかりとらわれがち
ですが、「三日見ぬ間に桜の蕾がもうこんなに大きくなってきた」と
いうふうに積極的、プラス面も見なければいけないのです。
日本人はとかく無常のマイナス面だけ見ますけれども、すべてのも
のをプラス・マイナス両面から一つにまとめてみていただきたい。
先ずこれが一番大事な事です。
「真面目」とは本旨、本来の趣旨でありますから、今の場合では無
常と言う事が真面目なのです。「柳緑花紅」だけれども、そこに真面
目としてプラス・マイナスの無常観が表われているわけです。