禅の栞より「怖い心の中の独り言。」
禅のエッセイを読んでいます。その中の一説を紹介します。
2011年の東日本大震災と、それに伴う原発事故以降、座禅や瞑想に
興味を持たれる方が増えています。それは世界に言葉が氾濫し過ぎた
からだと思っています。
ネガティブな情報がインターネットやテレビや人の口から語られて、頭の
中に入ってくる。心に不安を抱いている人は、情報のほんの10%を受け
取っただけで、怖いストリーを作り上げてしまう。それが頭の中で無限に
ループして語られ出すと、ほかの人の話を受け入れられなくなるし、から
だもしんどくなってしまうのです。
苦しいのは、心の中でずっと語っている独り言が自分自身を苛んでいる
から。けれどもそのことにはほとんどの人は気づかず、自分を苦しめてい
るのは他者だ、あるいは社会だと外部に敵を作るのです。
もちろん、社会的な状況を変えなければならないことは沢山あります。
でも、この心の中の怖い司令官の声を遮断できるのは自分だけです。
私たちは言葉を使ってしか物事を認識できません。しかし、言葉によって
自分の心を編んでゆく過程において、悩みというものも生れて来ます。つ
まり人間は言葉によって悩んでしまう性質も持っているのです。よって、悩
みの原因は「言葉」だということを改めて強く感じました。